8月15日はまだ終わっていない [daily]
日が替わり、本日は敗戦記念日。
かつて、加藤周一氏が戦後日本は丸山真男によって始まったと言ったが、今日は、その丸山真男の命日でもある。
以下は、1965年8月15日に開かれた「8.15記念国民集会」での丸山のスピーチ「20世紀最大のパラドックス」から(「8月15日はまだ終わっていない」『世界』10月号、1965年)。
よく、何のかのいっても国民の圧倒的多数は明治天皇制を支持していたんだ、ということがいわれます。しかしその「支持」とは一体何でしょうか。およそ疑うこと自体を許さない前提の下での「支持」であり、否定と肯定との選択の機会がそもそも存在しないし、存在することを許されないような、そういう性質の支持であります。およそ否定をくぐらない肯定であります。それはけっして戦争中の軍国主義だけのことではありません。明治憲法の天皇制が本来そういう性質のものだったわけです。ですから、今日、国民の大多数が戦後の天皇制の存続を支持したとしても、その「支持」の思想的意味はまったくちがいます。それは国民の自由な選択によっていつでも否定する権利を保障された上での、一定の政治形態の「支持」です。これが、ポツダム宣言から日本国憲法における国民主権原理の採用にいたる巨大な歴史的転回の思想的意味であります。その二つの「支持」の間に横わる理論的な断絶その内包する意味を理解しない人は、およそ戦前も戦後も語ることが出来ないと思います(200、201頁)。
敗戦から61年経つ今年、未だ8月15日はまだ終わっていない、とは言えないか。
(なお、「20世紀最大のパラドックス」は『丸山真男集第9巻』に収まっている)
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