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父祖たちの「反戦・平和」(本田靖春) [daily]

以前、「日の丸・君が代」の記事でも引用したが、今回も「我、拗ね者として生涯を閉ず」(本田靖春)から引用する。

 忘れてもらってはいけないことが、一つある。君たちの父祖が、焼土の中から立ち上がって、交戦権の放棄を宣言し、軍隊は持たないことを内外に誓ったことを。

 わが国は理想的な国家のありように、先鞭をつけたのである。なんと素晴らしいことではないか。君たちの父祖は、そのことを誇りにしてきた。憲法が進駐軍に押しつけられたかどうかは、問題ではない(注)。要は、その内容である。暗い戦争の時代をくぐり、圧制の下で息をひそめてきた人びとが、敗戦によって桎梏(しっこく)から解き放れたとき、久方ぶりに快晴の青空を仰ぎ見る思いであったろう。

 国民のすべてが、何らかのかたちで、戦争の悲惨を味わっていた。戦争は災禍しかもたらさない。その事実を、身に沁みて知っているから、平和主義に貫かれた新憲法を心の底から歓迎した。反対を唱えたのは、極右思想につながる、ごく一部の連中だけであった。与えられたものであるにせよ、平和憲法はほぼ国民の全員が賛同して国是となった。そのことを忘れてはならない。

 私はまだ少年であったが、歴史の証人にはなれると思う。だから、力をこめていうが、君たちの父祖は、心底、「反戦・平和」だったのである。(214, 215頁、文庫版下巻より)

(注)GHQが一方的に日本政府に押し付けたものでないことが既に解っている。このときの過程を描いたものとして、映画『日本の青空』がある。



我、拗ね者として生涯を閉ず 上 (1) (講談社文庫 ほ 3-8)

我、拗ね者として生涯を閉ず 上 (1) (講談社文庫 ほ 3-8)

  • 作者: 本田 靖春
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/11
  • メディア: 文庫



我、拗ね者として生涯を閉ず 下 (3) (講談社文庫 ほ 3-9)

我、拗ね者として生涯を閉ず 下 (3) (講談社文庫 ほ 3-9)

  • 作者: 本田 靖春
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/11
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